小規模オフィスデザイン「成功のための3つの重要ポイント」
小規模オフィスの設計やデザインにおいて、少ないスペースをどのように最大限に活用し、快適で効率的な職場環境を整えるかが鍵となります。現代のオフィスワークは、単に仕事をするだけの場所ではなく、社員の創造性を引き出し、コミュニケーションを促進し、さらに心理的な快適さを提供する場としての役割が求められています。
特にパンデミック以降、リモートワークとの併用が進む中で、オフィスは従来以上に柔軟性と機能性が重視されるようになっています。自宅でのリモートワークも併用したルール設定で、オフィスを戦略的にダウンサイジングする企業も増えてきています。これまでの常識に捉われず、オフィスデザインの参考にしてみて下さい。
それでは、小規模オフィスのデザインを成功させるために重要な3つのポイントを詳しく説明します。
これらのポイントを意識することで、限られたスペースでも効果的な働き方を実現し、社員の満足度と生産性を向上させることができます。
1,オフィスはレイアウトがすべて!
2,「重」機能空間〜同じ場所を柔軟に使い分ける
3,デザインを集中させる
1,オフィスはレイアウトがすべて!
オフィスのレイアウトは、働く環境を決定づける最も重要な要素の一つです。人がどのように動き、どこで偶発的なコミュニケーションが生まれるか、またどのようにして集中して作業に取り組むことができるかを考慮する必要があります。特に小規模オフィスでは、限られたスペースを最大限に活用するために、レイアウトの工夫が欠かせません。適切なレイアウトは、社員のモチベーションを高め、生産性を向上させるだけでなく、働きやすい職場環境を提供します。
人がどう動いてどこで誰と偶発的な会話を生み出すか。ちょうど良いところにテーブルがあって、ちょっと手元のコーヒーとPCを置いて雑談に花を咲かせる等の経験をされた方も多いのではないでしょうか。小規模オフィスでは、特にその工夫がより重要視されます。
それでは、小規模オフィスのレイアウトデザインにおける3つの具体的なパターンをご紹介します。
パターン A 躯体のポテンシャルを引き出すレイアウト
建物の形状が変則的でも、その特性を活かして空間を最大限に利用することができます。
一般的なオフィスでは「デッドスペース」と呼ばれるような場所も、小規模オフィスでは工夫次第で有効な作業スペースに変えることが可能です。
例えば、デスクの配置を工夫することで、壁を向いた集中作業スペースと、振り返ってすぐに同僚とコミュニケーションが取れるスペースを一体化させることができます。このような「背面対抗式レイアウト」は、集中とコミュニケーションの両方を実現するために非常に有効です。
オフィスデザイン事例 合同会社シェルパ様
パターン B 視覚的に分ける
部屋を物理的に分けるのではなく、視覚的な仕切りを使って空間を分割する方法も効果的です。例えば、四角い部屋を斜めに分けることで、来客用と社内用の動線を分けつつも、天井までの間仕切りを設置せずにコストを抑えつつ視覚的に異なる2つの空間を作り出すことができます。
この方法は、施工コストを抑えながらもデザイン性を高めることができるため、非常に実用的です。
オフィスデザイン事例 吉田司法書士事務所様
パターン C 中央個室による4スペース化
同じスペースで、複数のレイアウトプランのシミュレーションを比較してみます。お客様初回希望レイアウトでは、受付と個室をそれぞれ間仕切を建てて部屋を分ける、一般的な発想のレイアウトプランでした。しかし、このレイアウトでは、機能は叶えても、間仕切を多く使うことになります。
アドアルファ提案レイアウトでは、必要な個室数を一個に絞り、中央に配置する逆転の発想で、空間を5つに分けることができ、コストダウンも実現しました。
限られた空間を有効活用するためには、中央に個室を配置し、その周囲に複数のスペースを設ける逆転の発想も有効です。個室を中央に配置することで、受付や共有スペース、作業エリアなどを自然に区分けしつつ、全体としての空間の一体感を維持することができます。これにより、コストダウンを実現しながらも、機能的で快適なオフィス環境を作り出すことが可能です。
オフィスデザイン事例 株式会社ビジュアル・プロセッシング・ジャパン様 沖縄宜野座オフィス
2,「重」機能空間〜同じ場所を柔軟に使い分ける
限られたオフィススペースを有効に使うために、同じ場所を異なる目的で使えるようにする「重」機能空間の活用が効果的です。
※「重」機能空間とは、限られた床面積を時間帯により様々な利用方法で使い分けるという意味でのアドアルファの造語です。
パターン A お客様ラウンジ x リフレッシュ x パーティラウンジ
レイアウトの工夫の延長にもなりますが、今まで会議室として特定の利用方法しか使わなかった部屋をあえてラウンジとして改装した事例をご紹介します。
社内中心の設えから、来客中心のラウンジの設えに変更した事で、「居心地の良い空間」が生まれ、そこを社内リフレッシュスペースとしても活用できる様に社内ルールを一部変更しました。
これにより、今まで会議としてしか使えず、利用時以外の時間は単なる遊休スペースになっていた空間を有効活用出来るようになりました。
このスペースでは、お得意様をお呼びするパーティを行ったり、家族を招いて年一度のイベントを行ったりと、今までのオフィスの活用方法から、ひとまわり大きな活用シーンにつながりました。
オフィスの一部のみの改装ですが、賃料以上の費用対効果が得られたと思います。
オフィスデザイン事例 株式会社玄海キャピタルマネジメント様
パターン B プレゼンルームx 社内打合せxリフレッシュ
遊休スペースの使い方の別事例として、プレゼンルームを活用したケースです。
目的としては、開発中のプログラムのテストを行う為の空間ですが、設えを工夫する事で、社内打合せや、ランチスペース、リフレッシュスペースとしても使用が可能となりました。
1つの空間においても、利用者、利用頻度、利用シーンを検証し、それを時間帯によってグラデーション分けをする事で、限られた空間をフル活用する事が出来る設計を意識しました。
オフィスデザイン事例 株式会社アソウ・アルファ様 熊本R&Dセンター
パターン C リフレッシュX打合せXプレゼンルーム
出向先でのお仕事が多く、週の大半は出向先で作業をして、月一回の定例会議等でメンバーが顔を揃えると言う話はIT業界ではよく聞きます 。
レイアウトでは、フリーアドレスを導入し、どこにでも気兼ねなく座れる配置にしました。
メンバーが少ない日中の間は、机上面も広く使え、ゆとりをもって作業ができ、定例会議前後の作業では、メンバー全員で片寄合って座れます。
生まれるのは「一体感!」限られたスペースを如何に機能を重ねて使うかの良い例です。
オフィスデザイン事例 株式会社スミリオン様
3,デザインを集中させる
オフィスデザインにおいて、全体に均一なデザインを施すのではなく、特定のエリアにデザインを集中させることで、印象的な空間を作り出すことができます。これにより、オフィス全体の雰囲気を引き締め、記憶に残るデザインを実現できます。
パターン A オープンオフィスイメージの重大な壁
小規模オフィスの代表的な基本デザインとして、壁の一面を集中的にアイキャッチとなるデザインを施す事が挙げられます。
我々はスタバ効果と呼んでますが、背景に映るその壁面は、その手前の人をより際立たせます。
スタバも外から見ると、人の向こうに印象的なイラストやアートの施した壁面があるコトを知っている人も多いでしょう。
これは単に、コーヒーショップだからではなく、やはりアート的な意匠やデザインは、人の目を引き付けることに繋がるし、それがいつしか社員さんの記憶の中で、はたらく上で非常に良い環境と言う印象を残すことにも繋がります。
結果、人が辞めない、採用や定着に有利などの費用対効果が現れてきます。
オフィスデザイン事例 某IT企業様
パターン B ガラスの活用と曖昧な人数制限のミーティングルーム
ガラスの折り返しを造り、奥行きを魅せる。ちょっとした工夫ですが、これにより空間のヌケ感が格段に上がり、同じ広さの部屋でも受ける印象は大きく変わります。
コロナ後のオフィスでは、このような個室需要が上がり、個室の奪い合いにもなっています。
密室すぎないコト。そして声は聞こえないコト。時代時代で、その求められる機能と、デザインは移り変わって来ています。
限られたスペースの中で、人数をある程度柔軟に使いこなすには、ミーティングルームにベンチソファを置くのも良いアイデアです。
それから、ガラスの向こうの家具や壁の色は、できる限り有彩色を使うなどして、少し冒険する位のつもりで、目立たせることも考えていいでしょう。
そうすることで、ガラスと家具の間に入る「人」が際立って映ります。
オフィスデザイン事例 株式会社COCOHOMARE様
パターン C ワークシーンを見てもらうショールーム併用オフィス
ショールームを兼ねたオフィスでありながら、あえてワークスペースを隠さないのもひとつのアイデアです。
空間にしっかりとデザインを載せることで、来訪者に特別感が演出できると共に、しっかりとワークシーンを見てもらう事ができ、信用と繋がります。
白を基調とした、柔らかいグレージュを織り交ぜた優しい色調をベースに、窓側にカーテンを施す事で、オフィスの堅い感じを消して、包まれる感じにできたのも、抜かりないデザインと言えるでしょう。
オフィスデザイン事例 カーシーカシマ株式会社様